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スーパーキャパシタとは?基本的な使い方&充電方法
今回は、『スーパーキャパシタ(電解二重層コンデンサ)』の使い方について紹介します。
基本的な使い方
スーパーキャパシタとは、簡単に言うとコンデンサと同じようなもの。
一時的に電気を溜め込むことができる『蓄電池』です。
しかし、コンデンサに比べて非常に大きな電気を溜め込むことができます。
まずは、動画を見てください。
スーパーキャパシタの凄さが分かるはずです↓
1分近くモーターを回し続けることができました。
さすがに乾電池には敵いませんが、コンデンサにこれだけの電気を蓄えられるということに驚きです。
一般的な電解コンデンサを使って、LEDの点灯時間を比較してみました↓
左:電解コンデンサ(470μF)
右:スーパーキャパシタ(3300000μF)
電解コンデンサはLEDを一瞬灯すくらいの電気しか溜め込むことができません。
対して、スーパーキャパシタはずっと点灯し続けています。
長くなりそうだったので、撮影は途中でやめてしまいましたが、計算上「8分」くらいはLEDの点灯が続きそうです。
3.3F × 3V = 9.9C = 9.9A/s = 0.165A/m = 0.00275Ah = 2.75mAh
2.75mAh / 20mA(LEDの消費電流) = 0.1375時間 = 8.25分
充電方法
コンデンサと同じように電圧をかければ、スーパーキャパシタに電流が流れ、電荷が溜まっていきます。
テスタを繋げば、充電されていく様子が確認できます。
電圧の値が上昇しなくなったら、満タンまで充電された証です。
リチウムイオン電池などに比べて、あっという間に充電が終わるのも、スーパーキャパシタの大きなメリットです。
応用回路(DCモーターのスピード制御)
では、実際にどんなときにスーパーキャパシタを使うのか?
例として、『モータースピードの制御』に挑戦してみます。
もし「モーターの回転速度を自由に調整したい」という要望があったとき、あなたなら、どうしますか?
私だったら、単純に可変抵抗を取り付けて、流れる電流量を調整できるようにします。
ところが、実際にはうまく動きません。
モーターを動かすには、始動電流(突入電流)と呼ばれる最初にモーターを回すのために必要な電流を確保しなくてはいけません。
始動電流は、モーター定格電流の約10倍くらいの少し大きい電流が必要です。
このDCモーターを通常駆動したときの消費電流は、約200mA~300mA。
よって、始動電流はその10倍となる「2A~3A」となります。
もし抵抗値を大きくしてしまうと、モーターに流れる電流が少なくなってしまい、この始動電流が足りなくなってしまうのです。
そこで、スーパーキャパシタの出番です。
電源をONにすると、スーパーキャパシタに電気が蓄えられます。
スーパーキャパシタの電気が満タン(すぐに満タンになります)になると、スーパーキャパシタに蓄えられていた電気がモーターへ流れ、モーターが動き出します(始動電流)
スーパーキャパシタへは常に電池から抵抗で調整された少ない電流が供給され続けています。
モーターが動き出したあとは、電池からスーパーキャパシタへ供給された電気が、そのままモーターへ送り込まれています。
動画だとスピードの遅さが分かりにくいですが、1/3ぐらいのパワーに調整しています。
モーターの消費電流を計測している動画と比べて頂けると、モーター音やタイヤの回転速度で違いが分かりやすいです。
※ 注意点 ※
この方法では、スーパーキャパシタに余計な電流が蓄えられていると、その電流がなくなるまで、モーターは早いスピードで回り続けてしまいます。
今回使用したスーパーキャパシタの容量(3.3F)だと、満タン時にはスイッチをONしたあとに10秒くらい待たないと、調整したスピードに切り替わりませんでした。
もう少し容量が少ないスーパーキャパシタを用意する必要がありそうです。
もちろん、スーパーキャパシタを使わなくても、モータードライバやマイコンを使えば同じことができます。
ところがその場合は、「必要な部品が増えてしまう」という欠点があります。
まとめ
最後にスーパーキャパシタのメリット・デメリットをまとめておきます。
メリット
- コンデンサよりも一時的に蓄えらえる電気容量が大きい
- 充電スピードが速い
- 寿命が長い
デメリット
- 値段が高い(電池に比べてコスパが悪い)
- 入手性(電子パーツ専門店にしか売っていない)
- 放電に比例して電圧が落ちる
実験動画ありがとうございます。
実際にモータの動作を見ると大容量の実感が湧きます。
回路図の電源スイッチは、おそらく電池と直列…ですよね?